就職先が決まらないまま大学を卒業し、いわゆる「既卒」の状態に。
同級生たちが新入社員として働き始める中、次の進路をどうするか、冷静に考えなくてはいけない時期かと思います。
「新卒カードを失った今、まともな企業に入るのは難しいのでは?」
「公務員試験なら、経歴に関係なく点数で挽回できるはず」
現状を打破する手段として、「公務員」という選択肢が頭に浮かぶのは自然なことです。
しかし、元採用担当として、一つだけ注意喚起をさせてください。
その「公務員試験への一点集中」は、結果次第で人生設計に大きな影響を与えるリスクになり得ます。
それは、公務員試験に落ち続けた場合、そこには「数年間の空白期間」と「職歴なしの20代後半」という、厳しい現実が待ち受けているからです。
この記事では、「公務員しかない」と思い込んでいるあなたへ、これからどう動くかを決める前に知っておいてほしい「就活失敗からの意外な抜け道」をお伝えします。
これは、公務員を諦めさせるための記事ではありません。リスクを理解し、賢く「保険」をかけた上で、あなたの人生を安定させるための戦略マップです。
民間への就活に失敗した後、なぜ多くの人が「公務員」という選択肢に救いを求めてしまうのでしょうか。
それは、決してあなたが弱い人間だからではありません。就活で傷ついた心を守るための防衛本能と、周囲の環境が作り出した「3つの思い込み」が原因です。
まずは、自分がどのパターンに陥っているのかを客観的に見つめることから始めましょう。
もしあなたが、すでに公務員試験の勉強を開始している状態なら、この心理が働いている可能性があります。
すでに費やした労力や時間がもったいなくて、撤退すべきだとわかっていても引けなくなる心理のこと。
これは、半年、1年、3年と、費やした時間や労力が長ければ長い人ほど強く働きます。
「司法試験に何度も落ち、20代全てを費やすことになった…」というのはサンクコストバイアスの代表例ではないでしょうか。
高い予備校代も払ったし、今さら民間に行くなんて負けだ!
ここで辞めたら、これまでの勉強が全て無駄になってしまう…。
こんな感情に支配され、「自分には公務員しかない」と盲目的になってはいないでしょうか?
就職市場の視点で見ると、20代のうちは「勉強した過去」よりも、「若さ(ポテンシャル)」の方が圧倒的に価値があります。
「もったいない」という感情が、あなたの再就職のチャンスを先送りにしているかもしれません。
親世代は、不景気やリストラを目の当たりにしてきた「就職氷河期」を知る世代でもあります。
彼らにとって、倒産リスクのない「公務員」は、我が子を食いっぱぐれさせないための安全地帯に見えているのです。
就活が上手くいかずに肩身の狭い思いをしている人にとって、公務員合格は、親を安心させ、周囲を見返すための「一発逆転ホームラン」に感じるでしょう。
「就活は上手くいかなかったけど、結果的に公務員になれました!」
このセリフを言いたいがために、公務員という道に固執してはいないでしょうか?
しかし、親世代の常識と現代は違います。近年は公務員でも若手の離職率が増加しており、必ずしも「一生安泰」とは言えない時代になっています。
親を安心させる方法は、公務員になることだけではありません。「自立して安定して働くこと」ができれば、民間であっても十分に親孝行なのです。
就活で民間企業にマイナスの印象を持ったり、ネットで「営業ノルマ」「パワハラ」といったニュースを見続けたりしていると、思考が極端になりがちです。
このように世界を「白か黒か」で分けてしまっていませんか?
しかし、現実は違います。
日本企業の99.7%は中小企業であり、その中には、一般消費者が知らないだけで、安定した経営基盤を持つ「隠れ優良企業」が無数に存在しています。
あなたの民間への就職が上手くいかなかったのは、たまたま受けた「企業」と相性が悪かっただけ。
民間へのドアは閉ざされていないのに、拒否感から勝手に鍵をかけてしまっていませんか?
「まあ、1年くらい勉強すればどこかしら受かるだろう」
「もし落ちても、その時考えればいいや」
もしあなたが、そんな軽い気持ちで公務員浪人(既卒の状態で公務員試験に挑戦し続けること)を選ぼうとしているなら、ここで一度立ち止まってください。
採用の現場を知る人間からすると、その選択は「勝率が決して高くない選択に、20代という貴重な時間を集中投下」しているように見えます。
厳しい現実をデータで直視してください。
ここにあるのは、予備校のパンフレットには載っていない「不都合な真実」です。
まず、「公務員は勉強さえすれば受かる」という認識が大きな間違いです。
確かに試験は点数で評価されますが、既卒者が狙う「地方公務員(上級)」や「市役所」の実質倍率は、決して低くありません。
人気自治体であれば10倍〜20倍になることもザラにあり、これは民間の一流企業と変わらない狭き門です。
そして、最も恐ろしいのが「リスクとリターン」のバランスです。
民間就活が「滑り止め」を確保しながら進める登山なら、公務員試験は「命綱なしの崖登り」です。
20代という貴重な時間をかけて、この「All or Nothing(受かるか、無職か)」の戦いに挑む覚悟が、本当にありますか?
「それでも、入ってしまえば一生安泰だから…」
そう反論したくなる気持ちも分かります。しかし、その「安定」の定義も、今や崩れ去ろうとしています。
近年、公務員の世界では「若手の離職ドミノ」や「メンタルヘルス不調」が社会問題化しているのをご存知でしょうか。
総務省の協力団体による調査データを見ても、メンタルヘルスの不調により休職する職員の数は高止まり傾向にあります。
「理不尽なクレーム対応」「減らない残業」「年功序列の閉塞感」
夢見ていたホワイトな環境とは程遠い現実に直面し、せっかく入庁したのに数年で辞めてしまう人が後を絶ちません。
必死に勉強して手に入れたその席は、あなたが想像しているような「楽園」ではないかもしれません。
本当の安定とは、「組織に守ってもらうこと」ではなく、「どの組織でも通用するスキルを持つこと」です。
その意味で、スキルが身につきにくい公務員という環境は、長い目で見ると「不安定」なリスクを孕んでいるとも言えます。
最後に、元採用担当としてお伝えしておきたいのが「年齢のリスク」です。
もし、公務員試験に何年も挑戦し続け、30代手前で「やっぱり民間に就職しよう」と思い立った時、どのようなハードルが待っていると思いますか?
それは、「同年代ライバルとの経験値の差」です。
20代前半のうちは、あなたの試験勉強への努力は「ポテンシャル(伸びしろ)」として評価されるでしょう。企業も「育てれば伸びる」と期待してくれます。
しかし、30代に近づくにつれて、企業の評価基準は「これから伸びる人」から、「今すぐ利益を出せる人(即戦力)」へとシビアに変化します。
その時、すでに民間企業で数年の実務経験を積んでいる同年代と比べられると、「勉強は頑張ってきたけれど、ビジネス経験はゼロ」という状態が、どうしても不利に働いてしまうのです。
―― 決してあなたの努力が無駄なのではありません。その努力を「正当に評価してもらえる時期」には限りがあるということ。
「勉強で培った能力」と「若さ」をセットでアピールできる今のうちに、視野を広げておく。
それが、あなたの市場価値を最大化する一番の近道かもしれません。
「今から民間に行ったら、これまでに得た知識や努力が全て無駄になる…」
そう思って、方向転換を躊躇していませんか?
しかし、その勉強プロセスで培った「基礎能力」は、ビジネスの世界でも十分に評価されます。
あなたの努力は決して無駄ではありません。
ここでは、採用担当者が実は評価している、公務員試験経験者の「3つの隠れたスキル」を言語化します。
公務員試験で学んだ憲法、民法、行政法。
これらは、現代の企業が最も重視する「コンプライアンス(法令遵守)」の基礎体力になります。
昨今、SNSの炎上や契約トラブルなど、企業のリスク管理は厳しくなる一方です。
そんな中、法律の基礎知識があり、「何をしてはいけないか」「契約とは何か」というリーガルマインドを持っている人材は、法務部だけでなく、営業や総務の現場でも重宝されます。
「法律の素養がある」ということは、それだけで「リスク管理ができる信頼できる人材」という証明になるのです。
面接でも、「公務員試験を通じて、社会のルールの重要性を学びました。これは御社の業務におけるコンプライアンス遵守にも活かせると考えています」と伝えれば、強力なアピールになります。
公務員試験の難関である「数的処理」や「判断推理」。
あれは単なるパズルではありません。ビジネスに不可欠な「ロジカルシンキング(論理的思考力)」そのものです。
民間企業の仕事は、「課題を発見し、論理的に解決策を導き出すこと」の連続です。
複雑な条件を整理し、正解を導き出すトレーニングを積んできたあなたの頭脳は、企画職や事務職、あるいはエンジニアとして働くための「地頭」として完成されています。
「自分には実務経験がない」と悲観する必要はありません。あなたには、どんな業務もスムーズに習得できる「優秀な脳のOS」が既にインストールされています。
そして何より評価されるのが、たった一人で机に向かい続けた「胆力(継続力)」です。
誰にも強制されず、合格するかどうかも分からない不安の中で、1日何時間も勉強を続ける。これは、並大抵の精神力ではできません。
この「自律的に学ぶ力」は、変化の激しい民間企業、特にIT業界や専門職で最強の武器になります。
「教えてもらわないと動けない人」が多い中、「自らテキストを読み、自ら成長できる人」は喉から手が出るほど欲しい人材です。
その資質を、あなたはすでに公務員試験という過酷な環境で証明しているのです。
あなたは、決して「何もない人」なんかではありません。
「高い基礎能力と、努力を継続できる才能」を持った、磨けば光る原石です。
その才能を、公務員という枠の中だけで使い切ってしまうのは、少し惜しい気がします。
「民間に目を向けろと言われても、いわゆる成果主義の営業職は自分には合わない……」
そう感じる人は、決して少数派ではありません。ただし、その理由は人それぞれです。
安定性を重視したい人もいれば、業務内容の予測可能性を重んじる人、社会性や公共性のある仕事に魅力を感じる人もいるでしょう。
重要なのは、「公務員になりたい=民間が無理」という単純な二分法ではなく、自分がどのような働き方・環境を求めているのかを冷静に言語化することです。
実は民間企業の中にも、公務員と非常に近い働き方ができる職種・分野が存在します。
ここでは、公務員志望者と親和性が高いとされる「3つの受け皿」を紹介します。
※最初に取り上げる「大学職員・団体職員」は、受け皿として認識されがちですが、注意したい選択肢です。
よく「公務員の滑り止め」として紹介される、大学職員や商工会議所などの団体職員。
これらは「準公務員」と呼ばれ、ノルマもなく安定しているため、非常に人気があります。
しかし、だからこそ「公務員以上の超・レッドオーシャン」になっているのが現実です。
有名私大の職員採用などは、倍率が30~40倍以上になることも珍しくありません。
そこには、早慶MARCHクラスの新卒や、民間からの優秀な転職組が殺到します。
既卒の状態からここを第一志望にするのは、公務員試験に挑むのと同じか、それ以上にリスクが高い選択です。
「受かったらラッキー」程度に捉え、ここだけに命運を託すのは避けましょう。
私的に推奨度が高いのが、「インフラエンジニア」という職種です。
「えっ、IT? 文系だし無理だよ」と拒絶反応が出たかもしれませんが、少し聞いてください。
IT業界の中でも、Webデザイナーやプログラマー(開発)とは違い、この職種は驚くほど公務員的なのです。(夜勤や障害対応がある職場もあるため、企業選びは重要ですが。)
インフラエンジニアとは、ネットワークやサーバー(インターネットの道路や住所)を守る仕事です。
未経験からの採用も非常に活発で、文系出身者が多いのも特徴です。
「手に職がつく安定公務員」と言い換えてもいいこの職種は、真面目な公務員志望者にこそ適性があります。
もう一つのおすすめは、企業向け(BtoB)のメーカーや商社です。
テレビCMをやっているようなBtoC(消費者向け)企業は人気ですが、部品や素材を扱っているBtoB企業は、優良企業でも知名度が低く、新卒が集まらないという悩みを抱えています。
こうした企業の中には、公務員顔負けのホワイトな環境が整っている場所が多くあります。
特に狙い目なのが、「飛び込み営業がない(ルート営業)」会社です。
すでに取引のある顧客を定期的に回り、御用聞きやフォローをする仕事です。
知らない人の家のチャイムを鳴らすような精神的負担はなく、「信頼関係をコツコツ築く」という、誠実さが武器になる仕事です。
営業と聞くと拒否感を示す人が多いですが、こうした「守りの営業」に目を向けると、選択肢は一気に広がります。
ここまで読んでも、「やっぱり公務員は捨てきれない」「親の期待に応えたい」という気持ちが残っているかもしれません。
その気持ちを無理に消す必要はありません。ただ、もし本気で公務員を目指すなら、退路を断つことだけは絶対に避けてください。
賢い受験生は、必ず「リスクヘッジ(保険)」をかけています。
ここでは、あなたの精神を守り、結果的に公務員試験の合格率も高めるための「併願戦略」をお伝えします。
公務員浪人が長期化してしまう最大の原因。それは、試験の年齢制限(一般的に30歳前後)まで、「まだ猶予がある」と錯覚してしまうことです。
30歳までは大丈夫だから、今年ダメでも来年がある…。
この「遠すぎるゴール」が、皮肉にもあなたから緊張感を奪い、ダラダラとした受験生活を招いてしまいます。
自分の中で期限を決めないと、日々の努力はどうしても惰性になりがちです。
だからこそ、「今年の試験で落ちたら、きっぱり諦めて民間に進む」という短期的なデッドラインを自分で引いてください。
しっかりとデッドラインを設けて行動することは、人生における大きなリスクヘッジになります。
親御さんとの板挟みの状態で悩んでいる方もいるかもしれません。
自分的には民間も視野に入れたいけれど、親が「公務員に集中してほしい」と願っている…。
親御さんが反対するのは、決してあなたの邪魔をしたいからではありません。「もし試験に落ちて、将来が不安定になったらどうしよう」という、深い愛情ゆえの心配です。
そんな親御さんの不安を解消し、安心してもらうために有効なのが、「エージェントという第三者の視点」です。
エージェントを通して、「現在の市場価値」や「万が一の選択肢」を確認しておくことは、親御さんへの誠実な説明材料になります。
就職のプロに相談して、万が一試験に落ちた場合の「切り替え先」や「今の自分にできる仕事」を確認してあるから大丈夫。
いざとなれば紹介してもらえる企業の候補もあるから、過度に心配しないでほしい。
こうやって具体的にリスク管理ができていることを伝えれば、親御さんも安心してくれるはずです。
エージェントを利用することは、すぐに就職するためだけではありません。「もしもの時の命綱」を確保している姿勢を見せ、親御さんに安心して見守ってもらうための「賢い準備」でもあるのです。
「よし、民間も視野に入れてみよう」
そう思っても、具体的に何から始めればいいか分からない人も多いのではないでしょうか。
いきなり求人サイトで検索する必要はありません。まずは、「今の自分の市場価値(どんな会社なら入れるか)」を客観的に知ることから始めてください。
公務員志望者は、真面目ゆえに「自分一人の力でなんとかしなければ」と考えがちです。
しかし、民間就活は情報戦。「無料で使えるリソースは使い倒す」くらいのしたたかさを持っていて構いません。
就職エージェントは「就職させる場所」だと思われがちですが、実は「キャリアの健康診断をする場所」でもあります。
「もし今、民間を受けるとしたら、どんな業界が狙えるか?」
「自分の性格に合っているのは公務員か、民間か?」
それをプロの視点でジャッジしてもらうだけでも、視界は一気に開けます。
以下は、既卒の支援実績が豊富な会社です。まずは「相談」というスタンスで、情報収集に使ってみてはいかがでしょうか。
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大手のナビサイトにはない「独自求人」を検討したい人にはうってつけです。
民間企業の面接を受ける際、一番怖いのがこの質問ですよね。「挫折しました」と正直に言う必要はありません。
公務員を目指していた事実を、「ポジティブな方向転換」として伝えれば、むしろ評価されるポイントになります。
公務員試験の勉強を通じて、社会貢献には様々な形があることを学びました。
公務員として制度を守ることも大切ですが、私は○○という分野(志望企業の領域)で、よりスピード感を持って課題解決ができる民間の仕事に魅力を感じ、方向転換を決意しました。
このように、「勉強したからこそ、民間の良さに気づいた」というロジックにすれば、公務員浪人の期間は「必要な準備期間」に変わります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
就活に失敗した焦りから、「もう公務員しかない」と視野が狭くなっている状態。実は、これこそが人生におけるリスクなんですね。
「公務員になれなかったら、自分の人生は終わりだ…。」
そんな強迫観念を持って机に向かっても、良い結果は出ませんし、精神を病んでしまうだけです。
しかし、この記事を読んだ今のあなたは違います。「もし公務員がダメでも、私には民間企業という『抜け道』がある」その事実を知っているはずです。
民間という選択肢を持った上で、それでも公務員を目指すなら、それは「逃げ」ではなく立派な「覚悟」です。
逆に、民間に切り替えて、早々に安定した生活を手に入れるのも賢い「戦略」です。
どちらを選ぶにせよ、まずはプロの話を聞いて、自分の現在地を知ることから始めてみませんか?
今日踏み出す小さな一歩が、1年後のあなたを「職歴なしの公務員浪人」という未来から救い出してくれます。

