履歴書や面接を前にして、志望動機の欄でペンが止まってしまってはいませんか。
そもそも、職歴も特別なスキルもない既卒は、志望動機として何を伝えればいいのか……
新卒就活時と同じ内容・考え方で作ればいいのかな?
既卒の就職活動には、「新卒」とも「中途」とも違う独自の難しさがあるため、迷いが生じるのはある意味当然です。
しかし、安心してください。
既卒の志望動機には、評価されやすい共通パターンが存在します。
この記事では、多くの既卒が陥る「新卒気分の志望動機」から脱却し、あなたの持つ経験を、企業が欲しがる「採用したい理由」へと変換する書き方を伝授します。
読み終える頃には、あなたの手元には「自信を持って提出できる志望動機」が完成しているはずです。
「御社」と「貴社」の使い分けについて
本記事では、読みやすさを優先して「御社」という表現で統一しています。実際の就職活動では「書き言葉(履歴書・職務経歴書):貴社」「話し言葉(面接):御社」の使い分けをお願いいたします。
まず最初に、多くの既卒が勘違いしている「戦い方」のズレを修正しましょう。
ここを間違えたままだと、どんなに美しい言葉を羅列しても、採用担当者の心には響きません。
新卒、中途、そして既卒。それぞれの採用で求められているものは、全く別物なのです。
以下の図を見てください。これが採用市場における評価軸の違いです。
では、既卒は何で戦えばいいのでしょうか?
職歴(実績)がないので、中途と同じ土俵には立てません。
かといって、「新卒と同じ気分(受け身)」で挑むと、「学生気分が抜けていない」と厳しい目で見られる可能性があります。
既卒が志望動機で伝えるべきなのは、「実務への貢献意欲」です。
「教えてもらう」のではなく、「未経験なりに、泥臭い仕事でも何でもやって貢献する」というスタンス。
これを見せるだけで、面接官の評価はガラリと変わります。
「なぜ就職しなかったのですか?」「空白期間は何をしていましたか?」
面接で必ず聞かれるこの質問に怯え、志望動機の中に長々と「言い訳」を書いてしまう人がいます。
しかし、志望動機で過去の弁明をする必要はありません。企業が志望動機で見たいのは、あなたの「過去」ではなく「未来」だからです。
「過去にいろいろあったけれど、だからこそ今は誰よりも働く覚悟がある」
「遠回りをした分、御社での業務には人一倍の情熱を持って取り組める」
このように、ネガティブな過去を「未来へのエネルギー」に変換して伝える。これが、既卒の志望動機における最強の戦略です。
次章からは、この戦略を具体的な文章に落とし込むための「型」を見ていきましょう。
「志望動機をゼロから考えるのは難しい」と感じていませんか?
しかし、悩む必要はありません。評価される志望動機には、必ず決まった「基本の型」があるからです。
以下の4段構成の「型」にあなたの経験を当てはめるだけで、採用担当者が「知りたいこと」を網羅した志望動機が完成します。
既卒の志望動機において、最も論理的で説得力が生まれるのが以下の構成です。
「私の強みである〇〇(継続力など)を活かし、御社の〇〇(営業など)事業の拡大に貢献したいと考え、志望いたしました。」
「現在の〇〇(アルバイト経験など)を通じ、〇〇(相手の立場に立って考えること)の重要性を実体験として学びました。」
「数ある同業他社の中でも、〇〇(顧客との信頼関係)を最優先にされている御社でこそ、私の強みを最大限に発揮できると考えました。」
「未経験ではありますが、入社後は〇〇(営業職)として、一日も早く戦力になれるよう泥臭く業務に取り組む覚悟です。」
志望動機を考える上で特に重視したいのが、3つ目の「企業選びの軸」です。
なぜなら、採用担当者は「うちである明確な理由はあるか?」という点を厳しく見ているからです。
実際、志望動機で「その会社でなければならない理由」をしっかりと伝えられる人は少数派です。
「企業研究」と「応募先ごとの変更」という手間がかかる分、多くの応募者が手を抜いてしまうからです。
つまり、志望動機をしっかりと伝えることができれば、それだけで他の候補者と差別化できるわけです。
ビシッとした「志望動機」を伝えられる人。正直、「おっ」と感心させられますね。
志望動機を作成する際、最も手が止まりやすいのが「最初の一文」です。
冒頭で採用担当者を惹きつけるために、以下のテンプレートを活用してください。
この「結論」さえ決まれば、あとはその理由(根拠)を肉付けしていくだけです。
それでは、実際に「基本の型」を使った例文を見ていきましょう。
ここで紹介するのは、あくまで「台本」です。丸暗記するのではなく、あなたの経験に合わせて中身を書き換えて使ってください。
自分の志望する職種に近いものを参考に、あなただけの志望動機を作り上げましょう。
事務職は人気が高く、倍率が高い職種です。
「残業が少なそう」「安定している」といった条件面だけの志望動機は、採用担当者に簡単に見抜かれてしまいます。
未経験から目指すなら、誰かを支えることに喜びを感じる「ホスピタリティ(献身性)」を軸にすると、説得力がぐっと高まります。
【結論】
私の強みである「周囲の状況を見て動く気配り」を活かし、御社の一般事務として、社員の皆様が働きやすい環境作りで貢献したいと考え、志望いたしました。
【根拠】
卒業後は家庭の事情により、家事手伝いに専念しておりました。家族が快適に過ごせるよう、掃除や整理整頓を徹底するだけでなく、栄養バランスを考えた食事管理を毎日継続しました。
「家の中が片付いていると仕事も捗る」と家族に言われた際、裏方として環境を整えることに自分の適性があると確信しました。
【軸】
社員一人ひとりの働きやすさを大切にし、バックオフィスの強化にも力を入れている御社であれば、私の「人を支えたい」という想いを仕事として形にできると考えました。
【貢献】
現在は実務に備えて、PCスキル(MOS)の取得に向けて勉強中です。入社後は、正確かつ丁寧な業務遂行を心がけ、一日も早く戦力となれるよう努めます。
アルバイト経験がなくとも、家事という経験を「環境整備」や「タスク管理(段取り力)」といったビジネス視点で語ることで、事務適性のアピールが可能です。
営業職は、学歴や過去の経歴に関係なく「数字(成果)」で評価される職種です。
そのため、精神論ではなく、アルバイト経験であっても「自分で目標を立て、数字に残る成果を出した経験」があれば取り入れましょう。
【結論】
私の強みである「目標達成への執着心」を活かし、御社の新規開拓営業として売上拡大に貢献したいと考え、志望いたしました。
【根拠】
新卒時は就職活動が上手くいかず、悔しい思いをしました。その反省から「次は絶対に結果を出す」と決め、アルバイト先の飲食店では、誰よりも多くのお客様に声をかけ、お勧め商品の売上を前月比120%に伸ばしました。
【軸】
成果がダイレクトに評価され、若手でも裁量を持って挑戦できる御社の社風に強く惹かれました。ここであれば、私の「結果にこだわる姿勢」を活かせると考えております。
【貢献】
入社後は、持ち前の行動量と粘り強さで、どんなに泥臭い業務もやり遂げ、早期に戦力として貢献いたします。
「頑張りました」というプロセスだけでなく、「前月比120%」といった「具体的な数値」を入れるのがポイントです。
小さな規模でも構いません。「数字を追って達成した」という事実こそが、営業職としてのポテンシャルの証明になります。
未経験可の求人が多いITエンジニアですが、「教えてもらおう」という姿勢はNGです。
空白期間に没頭していたことを「集中力」や「探究心」に変換し、独学の成果とセットで伝えましょう。
【結論】
私の強みである「一つの物事を深く追求する探究心」を活かし、御社のシステム開発エンジニアとして技術力で貢献したいと考え、志望いたしました。
【根拠】
卒業後の1年間は、興味を持ったプログラミング学習に没頭しておりました。エラーが出ても諦めず、原因を特定して解決するプロセスに面白さを感じ、独学で簡易的なWebアプリを作成しました。
【軸】
技術研修だけでなく、実務を通じたスキルアップを推奨されている御社であれば、私の「学び続ける姿勢」を活かし、長く技術者として成長できると考えました。
【貢献】
入社後は、持ち前の探求心で知識を吸収し、正確なコーディングを通じて、プロジェクトの成功に貢献する覚悟です。
「ニート期間」=「学習期間」と定義して伝えているパターンです。
ただし、口先だけでなく「実際にアプリを作った」などの行動事実(ポートフォリオ)がないと説得力が生まれないため、準備が必要です。
アルバイト経験が最もアピールしやすい職種、それが販売・サービス業ではないでしょうか。
ここは「接客(商品・サービス)が好き」だけでなく、その先の「顧客満足」や「店舗の利益」まで考えて動ける人材であることを伝えましょう。
【結論】
私の強みである「相手のニーズを汲み取る傾聴力」を活かし、御社のお客様に最適な商品を提案したいと考え、志望いたしました。
【根拠】
アパレル店でのアルバイトでは、単に商品を売るのではなく、お客様との会話から潜在的な好みを引き出すことを意識しました。
その結果、リピーターとなってくださるお客様が増え、接客の奥深さを学びました。
【軸】
商品力だけでなく、「接客品質」で他社との差別化を図る御社の姿勢に共感しました。ここであれば、私が大切にしてきた「お客様に寄り添う接客」を追求できると考えました。
【貢献】
入社後は、お客様一人ひとりに合わせた提案を行い、顧客満足度の向上と店舗の売上目標の達成に貢献いたします。
単純に「接客が得意」と伝えるだけでなく、「リピーターが増えた(成果)」まで語ることで、「ビジネス視点」を持っていることをアピールできます。
製造現場で最も重視されるのは、「ミスなく安全に製品を作り続けること」です。
そのため、派手なスキルよりも、決められたルールを遵守し、正確な作業を淡々と続けられる「規律性・継続力」が最大の武器になります。
【結論】
私の強みである「決められた手順を正確に守り続ける継続力」を活かし、御社の製品の品質維持に貢献したいと考え、志望いたしました。
【根拠】
学生時代は、倉庫内での軽作業アルバイトをしておりました。単純な作業の繰り返しでしたが、ミスなく行うための工夫を重ね、2年間無遅刻無欠勤でやり遂げました。この経験から、地道な作業の中にこそ責任感が必要だと学びました。
【軸】
「品質第一」を掲げ、日本のモノづくりを支える御社の製品に対する誠実な姿勢に惹かれました。ここであれば、私の「真面目にコツコツ取り組む性格」を活かせると考えました。
【貢献】
入社後は、作業手順をいち早く覚え、安全第一で正確な業務を遂行し、安定した生産ラインの稼働に貢献いたします。
製造業では、同じ品質を維持し続ける「安定感」が何よりも求められます。
そのため、「高い集中力」や「ルール遵守の精神」を強調しましょう。「無遅刻無欠勤」などの勤怠実績も、現場では非常に高く評価される信頼の証です。
たとえ本音であっても、志望動機の内容ひとつで「不採用」のレッテルを貼られてしまうことがあります。
採用担当者が最も嫌うのは、「会社を利用しようとしている(テイカー)」という姿勢です。
以下の4つは、志望動機として無意識に使ってしまいがちなNG例です。
「御社で学ばせていただきたいです」
「スキルアップして成長したいです」
一見、前向きに見えますが、これは「会社=学校」と勘違いしている典型的なNGワードです。
会社は「教えてもらう場所」ではなく、「労働対価として給料をもらう場所」です。
「貢献する」というスタンスが見えない限り、採用を見送られる可能性が高くなります。
「残業が少ない点に惹かれました」
「福利厚生が充実しているので、安心して働けると思いました」
確かに働く上で条件は重要であり、それが本音であっても構いません。
しかし、志望動機としてそのまま伝えてしまうと、採用担当者は以下のように考えます。
「仕事の中身には興味がなく、条件面だけで選んだのだろう」
「もっと条件の良い会社があったら、すぐに辞めるだろう」
条件面はあくまで「結果」であり、志望動機のメインにしてはいけません。
「昔から御社のサービスのファンでした」
「御社の商品を長年愛用しており、その良さを広めたいです」
「好き」という感情は、あくまで「消費者(お金を払う側)」の理屈です。この志望動機が許されるのはアルバイトまで。
企業が求めているのは、その商品を売って利益を生み出す「提供者(お金をもらう側)」です。
単に「好き」と伝えるだけでなく、「その商品を広めるために、自分ならどう動くか(貢献視点)」まで語らなければ、ただのファンで終わってしまいます。
ネット上の「受かる志望動機」をコピペし、社名だけを変えて何社にも使い回す。
これは、最も手抜きが見透かされる行為です。会社ごとに、事業内容、求める人物像は異なります。
どの会社でも通じるような無難な言葉は、裏を返せば「御社である必要はない」と言っているのと同じです。
多少不格好であっても構いません。
応募企業ごとに内容を変更し、「自分の言葉と経験」を織り交ぜて書くことが、志望動機の最低条件です。
既卒だからこそ聞かれる質問、この対策が就職実現を左右します。
志望動機は、「雇ってください」という立場の弱いお願い文ではありません。
あなたが企業に対して、「自分を採用することで、どんな価値を提供できるのか」を伝えるための、いわば簡易的な提案書です。
本記事で解説してきた通り、既卒の「志望動機」で評価されるのは、過去の経歴そのものではありません。
こうした未来視点のメッセージが、明確に言語化されているかどうかです。
既卒という経歴は、決してマイナス要素ではありません。 アルバイトや日常の経験の中で培ってきた「継続力」「工夫」「責任感」は、視点を変えれば立派な武器になります。
今回紹介した「4段構成の型」に沿って整理し、自分の言葉で、誠実に「どう貢献できるか」を伝えてください。
その一通が、次の選考への扉を開くはずです。

