クローゼットの前で、こんな風に立ち尽くしてしまってはいませんか。
「久しぶりの面接…。一体何を着ていけばいいんだろう?」
「学生時代のリクルートスーツ、まだ着ても変じゃないかな?」
既卒としての就職活動は、新卒の時とは違い「みんなと同じ」という正解がありません。
だからこそ、少しでも周りと違うと「自分だけ浮いているんじゃないか」と不安になってしまうものです。
しかし、安心してください。面接における服装選びの正解は、ファッションセンスを競うことではありません。
目指すべきゴールは、おしゃれに見せることではなく、「減点されない(足切りされない)」ことです。
この記事では、元採用担当の視点から「リクルートスーツの卒業時期」や「ユニクロ活用の是非」まで、既卒者が抱える服装の悩みをすべて解決します。
読み終える頃には、鏡の前で「よし、これなら大丈夫」と胸を張れるようになっているはずです。
実務経験のない(あるいは浅い)既卒採用において、見た目が与える影響は想像以上に大きいのが現実です。
面接官はあなたのファッションをチェックして、「おしゃれ度」を測定しているわけではありません。
見ているのは、「この人を採用しても大丈夫か?」という社会人としての「基礎的な常識(TPO)」です。
ここをクリアしない限り、どれだけ素晴らしい志望動機を用意しても、話を聞いてもらう前に、評価が大きく下がってしまう可能性があります。
人の第一印象は出会って数秒で決まり、その情報の半分以上は「見た目」によるものだと言われています。
面接官も人間です。「髪がボサボサ」「スーツがシワだらけ」という人に対し、「仕事は丁寧にやってくれそうだ」とイメージするのは難しいでしょう。
逆に言えば、見た目を整えるだけで「しっかりした人だ」という信頼のベースを作ることができます。
ここで誤解しないでいただきたいのは、決して「高いスーツを着る必要はない」ということ。
私たちがチェックしているのは、ブランドや生地の質ではありません。
極端な話、数千円の量販店のスーツでも、体にフィットしてプレスが効いていれば、それだけで「合格点」なのです。
「おしゃれ」を目指す必要はありません。誰から見ても不快感を与えない「清潔感」こそが、既卒にとって最強の武器になります。
既卒という立場は、採用市場において少し特殊な立ち位置にあります。
新卒のような「真っ白な新人」でもなければ、中途採用のような「即戦力のプロ」でもない、その中間にいる存在だからです。
この微妙な立ち位置ゆえに、服装で失敗するパターンは大きく2つに分かれます。
面接官が求めているのは、新卒のような「素直さ(フレッシュさ)」を持ちつつ、明日から職場に入れても恥ずかしくない「社会人としての安心感」です。
派手に着飾る必要も、学生のように縮こまる必要もありません。
―― この人なら、取引先に連れて行っても大丈夫そうだ。
そう思わせる「落ち着き」と「誠実さ」を演出すること。これが、既卒面接における服装選びの基本戦略です。
次のような板挟みこそが、既卒就活における最大の悩みどころではないでしょうか。
「周りはみんなビジネススーツなのに、自分だけリクルートスーツだと浮くかもしれない…。かといって、働いてもいないのにビジネススーツを着るのは生意気ではないか?」
結論から申し上げますと、既卒でもリクルートスーツを着て全く問題ありません。
ただし、あなたの年齢や卒業してからの期間によっては、少しだけ工夫をした方が好印象を与えられるケースもあります。
自分の状況に当てはめて、最適なスタイルを選んでみましょう。
もしあなたが大学を卒業してから3年以内であれば、迷わずリクルートスーツを選んで大丈夫です。
昨今の就職市場では「既卒3年以内=新卒扱い」として採用活動を行っています。
そのため、リクルートスーツ着用に問題はありません。むしろ、「フレッシュさ」や「素直さ」をアピールする上でプラスに働くことも多いのです。
自信を持って、クローゼットにあるスーツを活用してください。
ただし、一つだけ注意点があります。
それは、「学生時代のスーツが劣化していないか」という点です。
久しぶりに袖を通してみたら、「テカリが出ている」「シワが取れない」といった状態になってはいませんか?
清潔感を損なうレベルであれば、クリーニングに出すか、思い切って新調することも検討しましょう。
26歳を超えてくると、年齢相応の「落ち着き」が求められるため、少しリスクが出てきます。
リクルートスーツだとどうしても「幼い印象」や、実年齢とのギャップによる「違和感」を与えてしまう可能性があるからです。
この場合、思い切って「ビジネススーツ(ダークカラー)」に切り替えることをお勧めします。
柄は「無地」が無難です。ストライプが入る場合は、遠目には無地に見えるくらいの「シャドーストライプ」を選ぶと、生意気に見えず、かつ洗練された印象になります。
「ビジネススーツが良いのは分かるけれど、お金がないから買えない……」
服装問題の根幹はここですよね。無理して数万円もするブランドスーツを買う必要はありません。
今の時代、ユニクロや量販店のエントリーモデル(1万円〜2万円台)でも、サイズさえ合っていれば「安っぽさ」はバレません。
特にユニクロの「感動ジャケット/パンツ」シリーズなどは、見た目の質感も良く、自宅で洗えるためメンテナンスも楽です。
選ぶ際のポイントは、ペラペラの綿素材ではなく、スーツらしく見える「ウールライク(羊毛風)」の素材を選ぶこと。
これさえ守れば、ファストファッションは既卒就活の強い味方になってくれます。
「手持ちのスーツでいく」と決めた方も、面接までに以下のポイントをチェックしておきましょう。
自分では見慣れていて気づかない「劣化」が、面接官には悪目立ちしてしまうことがあります。
もしこれらに該当する場合は、どんなに高いスーツでも評価を下げてしまいます。
「洋服の青山」や「AOKI」などのアウトレットコーナーなら、数千円で新品が手に入ることもあります。必要経費と割り切って、清潔な一着を用意することをお勧めします。
これを選んでおけばまず失敗しないという「選び方の基準(ルール)」をまとめました。
個性を出すのは入社してからで十分です。面接の場では、誰からも好かれる「王道のスタイル」で守りを固めましょう。
基本ルールは男女共通です。ここでは「共通ルール」を前提に、男女で差が出やすいポイントだけを補足します。
スーツ選びで最も重要なのは「色」と「柄」です。
ここで奇をてらって「個性」を追求する必要はありません。
襟の形は、男性ならレギュラーカラーかワイドカラー、女性ならレギュラーかスキッパー(開襟)が一般的です。
カバン選びで迷ったら、ブランドや素材よりも「機能性」を重視しましょう。
採用担当者が見ているポイントは、実は非常にシンプルです。
素材はナイロンや合皮で十分です。ハイブランドのロゴが大きく入ったバッグは、かえって「TPOに合わない」と判断されることもあるため、シンプルなものを選びましょう。
また、最近増えている「リュック」ですが、避けた方が無難です。迷ったら手提げタイプを選びましょう。
「おしゃれは足元から」と言いますが、面接において足元は「生活感(だらしなさ)」が最も出やすい場所です。
黒の革靴を選びましょう。デザインは、つま先に横一文字のラインが入った「ストレートチップ」の紐靴が最もフォーマルで間違いありません。
ローファーやスリッポンはカジュアルすぎるため避けましょう。靴下の色は黒か濃紺を選び、白ソックスはNGです。
黒のパンプスが基本です。ヒールの高さは3〜5cm程度が、歩きやすく足もきれいに見えます。ピンヒールや飾りのついたもの、つま先が出るオープントゥは避けましょう。
ストッキングは肌色(ナチュラルベージュ)を選び、伝線した時のために予備を持ち歩くと安心です。
靴や足元回りで特に注意したいのは、「汚れ」と「すり減り」です。
泥がついたままの靴や、かかとが削れてすり減っている靴は、清潔感において致命的な減点となります。
面接会場に入る前に、駅のトイレなどでサッと拭けるよう、靴磨きシートやティッシュを持っておくと安心です。
スーツやカバンが完璧でも、あなた自身から清潔感が感じられなければ、全てが台無しです。
特に既卒者の場合、面接官は「生活リズムが乱れていないか?」という視点でチェックしています。
寝癖がついている、メイクが雑、といった小さな綻びが、「生活がだらしない=仕事も雑だろう」という評価に直結してしまうのです。
鏡の前で最終確認すべきポイントをまとめました。
「茶髪はどこまで許されるのか?」という疑問ですが、一つの基準となるのが「レベル7(暗めの茶色)」です。
日本ヘアカラー協会のレベルスケールにおいて、レベル7以下であれば、多くの企業で「身だしなみの範囲内」として許容されます。
ただし、一番危険なのは「プリン状態(根元が黒く伸びている状態)」です。これは不潔でだらしない印象を与えてしまうため、必ず染め直しましょう。
「明日が面接なのに美容院に行く時間がない!」
そんな時は、ドラッグストアで売っている「黒染めスプレー」や、黒色のワックスを使って一時的に黒くする方法があります。
ただし、雨や汗で落ちてシャツが汚れるリスクもあるため、あくまで緊急措置と考えてください。
髪型で意識すべきは、おしゃれさよりも「表情が明るく見えること」です。
前髪が目にかかっていたり、顔周りが髪で隠れていたりすると、暗い印象を与えてしまいます。
間違いのない選択は「前髪が目にかからない」「耳にかからない」「襟足がシャツにつかない」の3点を守ること。
ツーブロックは過度でなければOKですが、カリアゲ過ぎは威圧感を与えるので注意が必要です。
お辞儀をした時に、バサッと髪が落ちてこないようにまとめるのが鉄則です。顔周りの「触覚ヘア」は、就活の場では稚拙に見えるため避けましょう。
普段メイクをしない方でも、面接では「ナチュラルメイク」をしていくのがマナーです。
ノーメイクだと顔色が悪く見え、「やる気がない」と誤解される可能性があるためです。
ポイントは血色感。ブラウン系のアイシャドウに、自然なピンクやコーラル系のリップ・チークを薄く入れ、健康的で明るい印象を作りましょう。ラメや濃すぎるリップはNGです。
また、マスクについては、感染症対策の状況にもよりますが、「不織布の白」を選んでおくのが最も無難で誠実に見えます。
ウレタンマスクや柄物は、カジュアルな印象になるため避けましょう。
視覚以外の情報も、面接官は敏感に感じ取ります。以下の2点は、自分では気づきにくいので特に注意してください。
「面接の服装は自由です」
「当日は私服でお越しください」
この一文を見た瞬間、逆に頭を抱えてしまった経験はありませんか。
「自由と言いつつ、試されているのではないか?」
「私服と言われてスーツで行ったら、空気が読めないと思われるのでは?」
そんな疑心暗鬼に陥る必要はありません。企業がこの言葉を使う意図と、既卒として選ぶべき「正解」を解説します。
まず大前提として、「私服可」や「服装自由」という言葉は、「スーツで来てはいけない」という禁止命令ではありません。
基本的には、「リラックスした状態で面接に臨んで欲しい」「かしこまった雰囲気をなくしたい」という配慮であることがほとんどです。
ですので、もしあなたが「オフィスカジュアルなんて持っていない」「センスに自信がない」と悩むくらいなら、迷わずスーツで行くことをお勧めします。
私服で行くことを選んだ場合や、「私服指定(スーツ不可)」だった場合、どんな服装が正解なのでしょうか。
ポイントは、普段着ではなく、「オフィスカジュアル」を意識することです。企業側の配慮だったとしても、「仕事の面接」であることに変わりはないからです。
そこで最も失敗しないアイテムが、「ジャケット」です。一枚羽織るだけで「きちんと感」が出るため、既卒面接における最強の防具になります。
稀に「あなたらしい服装で」と、明確に私服指定(スーツ不可)されるケースがあります。
これはアパレル業界や、個性やカルチャーフィットを重視するITベンチャー企業などに多いパターンです。
ただし、ここで誤解してはいけないのは、企業は「服装センスの優劣を競わせたいわけではない」という点です。
企業があえてスーツ不可とするのは、「職場の雰囲気や価値観に自然に馴染めそうかを確認したい」という意図であることがほとんどです。
そのため、「個性を出さなければ」と張り切り過ぎる必要はありません。
派手さで自己主張するよりも、清潔感があり、誰に会わせても違和感のない服装のほうが、「安心して任せられそう」という好印象につながります。
「それでもやっぱり不安だ……」
そんな時は、一人で悩まずに外部の情報を頼りましょう。
マニュアル通りにいかないイレギュラーな状況こそ、迷いが生じやすいものです。
よくある疑問をQ&A形式でまとめました。
季節に合わせた調整は必要ですが、「面接の場ではジャケット着用」が基本ルールだと覚えておきましょう。
自宅だからと気を抜くのは禁物です。
画面越しだからこそ、対面以上に「映り」に気を使う必要があります。
ここまで、既卒面接における服装のルールをお伝えしてきました。
最後に、これから面接に向かうあなたに、一つだけ覚えておいてほしいことがあります。
服装は、あなたを守るための「防具」であって、勝負を決める「武器」ではありません。
あくまでも加点を狙うのは質疑応答であり、服装は減点を防ぐための防具。
つまり、「無難」を選択することが、面接という局面では正解なのです。
この記事で紹介したポイントさえ押さえておけば、服装で減点されることはまずありません。
服装が整っている人は、それだけで「この人は準備ができている」という安心感を与えます。
あとは、話す内容を整えるだけです。

